イライラが止まらないのは病気のサイン？原因と今すぐ実践できる対処法12選

「家族や友人にきつく当たってしまう」
「職場で感情をおさえきれなくなることが増えてきた」
「私、こんなすぐにイライラしてしまう性格だったのかな」

なんでこんなに怒りっぽくなってしまったのだろうかと自分を責めていませんか。もしかしたらそのイライラは、あなたの性格やストレスだけが原因ではないかもしれません。

本記事では「イライラが止まらない原因は性格？病気のサイン？」ということを明確にしながら、今すぐ実践できる対処法をやさしく解説します。

どうか、ひとりで抱え込まないでくださいね。今日から一緒に気持ちを整えていきましょう。

イライラが止まらないのは病気？それとも性格の問題？

感情がコントロールできない状態が続くと、誰でも心が苦しくなってしまいます。

イライラの原因はひとつではありません。以下では、イライラが止まらない原因について考えられる可能性を整理していきます。

性格的な傾向でイライラしやすい方もいる

本当は笑って流したいだけなのに、気づけばイライラしている自分がいる経験はありませんか。そんなあなたは、きっと周囲に気を遣いすぎてしまったり自分に厳しくしすぎたりする傾向があるのでしょうね。

性格的にイライラを感じやすい方には、次のような共通点があるといわれています。

• 完璧にしないと気が済まない
• 責任感が強い
• 人の気持ちに敏感に反応する
• 他人のちょっとした言動を受け止めすぎてしまう

こうした特性自体は、決して悪いものではありません。誠実で真面目な人だからこそ感じやすいものです。

ただし、心に余裕がないときにはその繊細さが「イライラ」という形で表に出やすくなることもあります。
「今、心がいっぱいいっぱいで限界に近いんだ」
このように気づいてあげることが大切です。

PMS（月経前症候群）が原因の場合

生理前になると、理由もなくイライラしたり気持ちが落ち込んだりしていませんか。もしかしたら、そんな感情の揺れは、PMS（月経前症候群）の症状による可能性があります。
PMSは、排卵後から生理が始まる前までの間に起こる心身の不調のことです。思春期以降から40代前半まで、幅広い年代の女性にみられるのが特徴で、代表的な症状には以下のようなものがあります。

• 些細なことで怒りっぽくなる
• 感情のコントロールが効かなくなる
• 頭痛や腹痛、眠気など身体の不調を感じる

「何もないのにこんなにイライラしてしまうのはなぜなんだろう」と落ち込むよりも、PMSによる影響を受けていると自分のリズムを知っておくことが大切です。

更年期による影響の場合

40代半ばを過ぎたあたりから、昔より怒りっぽくなったりわけもなく不安になったりすると感じることが増えていませんか。それは女性ホルモン（エストロゲン）の分泌が変動しながら減少していくことで、自律神経が乱れやすくなる「更年期」に入ったサインかもしれません。

更年期の特徴的な症状には、以下のようなものがあります。

• 突然イライラや不安感がこみ上げてくる
• 顔のほてりや発汗、動悸などの身体の変化が生じる
• 夜なかなか眠れなくなったり気持ちが落ち着かなくなったりする

ホルモンの変化は目に見えませんが、誰にでも起こる自然なことです。つらいときは我慢せず、婦人科や心療内科などの専門機関に相談してくださいね。

病気のサインの可能性もある

「こんなにイライラするなんて、私はもしかしてどこかおかしいのかもしれない」

感情の浮き沈みが激しく、家族や職場に当たってしまうたびに不安がよぎる方もいるでしょう。実は、イライラが強くなりすぎて日常生活に支障をきたしている場合、イライラが止まらないのは心や身体の不調のサインかもしれません。

次のようなことを体感していたら、専門機関へ受診することも検討してみてくださいね。

• 怒りっぽくなったりささいなことで涙が止まらなかったりするのが、2週間以上続いている
• 明らかに以前と違う自分に気づいている（例：感情のコントロールができなくなった）

病気かどうかを判断するのは専門医ですが、あなたが感じているしんどさ・つらさは本物です。我慢や気合いではなく、相談したいと思えるタイミングで専門家の力を借りることも大切です。

イライラが止まらないときに今すぐできる対処法12選

「もう限界だ…」

このように感じる日は、誰にでもあります。頭ではわかっていても心が追いつかなかったり、些細なことでカッとなってしまったりすることもあるでしょう。あとから自己嫌悪に陥ってしまい自分を責めてしまう方もいるかもしれませんね。

そんなときは、今すぐできる対処法を実践することで気持ちを少しでも軽くすることが大切です。以下では、イライラが止まらないときに今すぐできる12の対処法を解説します。

1. 深呼吸して自律神経を整える

イライラしているとき、人は無意識に呼吸が浅くなっているといわれています。胸が詰まり苦しくなったときや、言葉が出る前に怒りがこみ上げてくるあの瞬間こそゆっくり深呼吸しましょう。自律神経を整えるために大切な動作です。以下の4つのポイントを意識してくださいね。

• 呼吸は鼻から吸って、口から吐く
• なるべくゆっくり行う
• 足は肩幅に開く
• 痛みが出た場合はすぐにやめる

深呼吸して自律神経を整える習慣は、イライラが止まらなくなる悪循環を防ぐために役立ちます。

2. 軽い運動で心身をリフレッシュさせる

イライラでいっぱいになった心をリセットしたいとき、身体を動かすことは思っている以上に効果的です。

激しく運動する必要はありません。5分だけのストレッチや、少し早歩きでの散歩でも十分です。身体がほぐれることで、頭の中のモヤモヤも自然と整理されていくでしょう。とくに、太陽の光を浴びながら歩くことは、気分の安定につながるセロトニンの分泌を促すともいわれています。

慌ただしい毎日の中で心がどこか遠くに置き去りになっているように感じるときこそ、軽い運動で心身をリフレッシュさせてくださいね。

3. 感情の安定に役立つ栄養素を摂る

脳や神経の働きを支える栄養素が不足していることが、気分の不安定さにつながっている場合もあります。感情の安定に役立つといわれているおもな栄養素は、以下の3つです。

栄養素	多く含まれている食べ物
マグネシウム	アーモンド（素焼き・無塩）、ひじき（乾燥）、納豆、ほうれん草（茹で）、玄米
ビタミンB群	豚肉、鶏むね肉、卵、レバー、バナナ
鉄	牛レバー、あさり、小松菜、ひじき、赤身の牛肉（ヒレ・もも）

きちんと食べているつもりでも、忙しさや食事の偏りで気づかないうちに不足していることもあります。心のケアは、体の内側からのサポートも一緒にしてあげることが大切です。

4. 脳と心をクールダウンさせる

仕事や家事に追われる日々のなかで、あなたの脳はきっと常にフル回転していますよね。小さな刺激にも敏感に反応してしまい限界が近いときは、立ち止まってみることも大切です。

スマホから目を離し、ほんの数分でもよいので静かな時間を過ごしてみてくださいね。深呼吸しながら、脳と心の緊張をクールダウンさせてあげましょう。思考にも余裕が生まれ、感情の波もゆるやかになっていく傾向にあります。

5. 質のよい睡眠を心がける

眠れているようで、実は休めている気がしない実感がある方も多いのではないでしょうか。

イライラが止まらない日が続くとき、心と身体の根本的な回復には質のよい睡眠が欠かせません。寝つきを良くするための環境づくりや、寝る前の過ごし方を少し見直すだけで、翌朝の気持ちにぐっと余裕が生まれることもあります。

質のよい睡眠とは、具体的には以下のような睡眠がとれていることを指します。

• 昼夜のメリハリがはっきりしている
• 睡眠時間と覚醒時間のリズムが保たれている
• 自分にとって必要な睡眠時間がとれている
• 途中で起きずに、深い眠りがとれている
• 寝つきがスムーズにできる
• 朝の目覚めがラクにできる
• 自分なりの「眠れた感」がある
• 昼間の疲れやイライラが少ない

参考：厚生労働省「第3章 より健康的な睡眠を確保するための生活術」

質のよい睡眠がとれていることは、それだけで心を落ち着かせる力になります。

6. 感情を溜め込まないようにする

「こんなことでイライラするなんて…」
「いやダメだ、我慢しないと…」

このように、感情をぐっと飲み込んでいませんか。ただ、我慢を重ねすぎるとある日突然限界を超えて、感情をおさえられなくなるリスクを抱えることになります。以下のように、何かしらの形にするだけで心の重さを軽減できるでしょう。

• 誰かに話す
• ノートに書き出す
• 声に出して言ってみる
• 自分だけしか見られないブログに書く

感情は溜め込むのではなく、上手に外に出してあげましょう。自分を守るためのケアとして、遠慮せずに手放してくださいね。

7. 自分の感情を客観視してみる

イライラしているときは気持ちに余裕がなく、冷静に自分の感情と向き合うのが難しくなります。そんなときこそ一度立ち止まって、自分の感情を客観視してみることが大切です。

具体的には「何に反応して、なぜこんな気持ちになったのか」を書き出してみるだけでも、感情の正体が少し見えてきます。自分の感情を否定せず、今の瞬間に感じていることと冷静に向き合ってみてくださいね。それだけでも、心がラクになれます。

8. 笑える動画や本で気持ちを緩める

気分が沈んでいるときやイライラが続いているときに、笑うなんて無理だと思うかもしれませんね。しかし、作り笑いでも脳はリラックスしていると認識するといわれています。

少しでもクスッとできる時間は、心の緊張をやさしくほぐしてくれます。無理に元気にならなくても大丈夫ですよ。ただ、少しだけでも「笑う」ことを許してあげてみてくださいね。

9. 好きな音楽やアロマで心を癒す

言葉ではどうにもならないイライラやモヤモヤに効くのが、音楽や香りのアプローチです。次のようなアプローチで自律神経のバランスが整い、感情の波も穏やかになることが期待できます。

• 好きな香りをかぐ（ハンドクリーム、キャンドルなど）
• 心地よい音楽を流す

アロマディフューザーがあれば、さらにいろいろな香りを楽しめますよね。心がざわつくときこそ、いい匂いと心地よい音に包まれる時間を意識的に作っていきましょう。小さな癒しの積み重ねが、イライラしにくい心の土台をつくります。

10. 美味しいものをじっくり味わう

忙しさやストレスで心に余裕がないときには、食べ物を美味しいと感じる力が鈍くなってしまうことがあります。そのようなときこそ、美味しいものをじっくり味わってみてくださいね。次のようなことを意識しながら食事してみましょう。

• 温かい飲み物をゆっくり口に含む
• 好きなおやつを丁寧に味わう
• 他のことを考えず、食事に集中する

ただ食べるのではなく、香りや食感などに意識を向けるだけでも変わります。脳の緊張がゆるみ、自然と気持ちも落ち着いていきます。

11. 自然の空気を身体いっぱいに感じ取る

都会のコンクリートに囲まれた毎日を送っていると、無意識のうちに心も身体も緊張したままになることがあります。そのようなときは、緑に囲まれた自然の中で深呼吸するだけでも気持ちがホッとなります。おそらく、同じような経験がある方は多いのではないでしょうか。

緑豊かな公園で、空を見上げれば雲ひとつなく澄んだ青空。爽やかな風が音とともに感じられる時間は、自律神経のバランスを整え、イライラや不安をやわらげてくれるでしょう。

無理して遠出する必要はありません。近所を少し散歩するだけでも、心に余裕が生まれます。

12. 趣味に没頭して気分を切り替える

頭の中がイライラや不安でいっぱいになっているときは、いったん感情のスイッチを切り替えてみましょう。その助けになる1つが、趣味に没頭することです。趣味の時間は、なによりも脳のリフレッシュタイムになります。

趣味に費やす時間なんてないと思っている時こそ、ほんの5分でもいいので趣味に時間を使ってみてくださいね。気づけば気持ちが軽くなり、また目の前のことに向き合う力が戻ってくるでしょう。

イライラが止まらないときの病院に行くべき目安

イライラが止まらないときに今すぐできる対処法をお伝えしましたが、それでも気持ちがうまくコントロールできないことが多い場合は病気のサインの可能性が出てきます。一度立ち止まり、状況を見つめ直すことが必要です。

以下では、専門家への相談を検討する目安として意識しておきたいポイントをわかりやすく紹介します。

毎日の生活や人間関係に支障が出ている

イライラのせいで家族との会話がギスギスしたり職場での人間関係に緊張が生まれたりしている場合、心が限界に近づいているサインの可能性があります。自分ではどうにかしたいと思っていてもうまくコントロールできないことが続くなら、専門家に相談することで視界が開けることもあります。

自分で感情をコントロールできなくなってきている

自分で感情を抑えられない場面が増えているなら、それは心が悲鳴を上げているサインの可能性があります。気合いや我慢でなんとかしようとしても、感情をどうすればコントロールできるかわからないとますます不安になってしまいますよね。

そのようなときは、一人で抱え込まないでくださいね。今の状態を専門家に相談するだけでも心がほっとすることがあります。

2週間以上イライラが続く

寝ればなんとかなるしそのうち落ち着くはずと思っていたら、まったくその気配が見られなかった経験はありませんか。

もしそのような状態が続いているなら、あなたの症状は一時的なストレスではない可能性があります。目安は「2週間以上イライラが止まらない状況が続いているとき」です。

どうか無理せず、専門家に相談する選択肢を持ってくださいね。

イライラが止まらない場合によくある質問Q&A

「こんなすぐにイライラしてしまうのは、私だけ…？」

ふと湧いてくる感情、否応なしに不安になってしまいますよね。ここでは、イライラが止まらない方に多いよくある質問について回答します。

Q1. 生理前や更年期でイライラが止まらなくなることはありますか？

はい、あります。

ホルモンバランスの変化は、感情面に大きく影響を与えることが知られています。生理前に強いイライラや落ち込みを感じる「PMS（月経前症候群）」や、おもに40代からホルモンの急激な変化が起こる「更年期障害」では、理由のない怒りや不安感が突然押し寄せることも少なくありません。

私だけおかしいのではないかと感じてしまいがちですが、身体の仕組みによる自然な反応です。決してあなたの性格や我慢のなさが原因ではないので、ご安心くださいね。

症状がつらいと感じるときは、婦人科や心療内科で専門医に相談してみましょう。ホルモン療法や漢方など適切な対処法を選べます。まずは、自分を責めないことからはじめてみてくださいね。

Q2. 家族に感情をぶつけてしまい、自己嫌悪になります。どうすればいいですか？

家族だからこそ安心できる反面、つい感情をぶつけてしまうことは誰にでもあることです。まず大切なのは、怒ってしまった人間が悪いと思い込まないことです。イライラしたのには理由があります。自分を責める前に、なぜ怒ったのかを一歩引いて見つめ直してみましょう。

感情をぶつけてしまったあとでも「ごめんなさい」と言葉にすることは、関係を修復するために必要です。もし一人で抱えるのがつらいときは、カウンセリングなど第三者の力を借りるのも1つの手段です。自分と家族を守るためにも検討してみてくださいね。

Q3. ゲームや仕事中など何でもないことでとにかくイライラしてしまうのはなぜですか？

ゲームや仕事中のイライラは、頑張っているにもかかわわず思い通りにいかないことへのフラストレーションとも重なりやすいものです。本来なら気にしないようなことに強く反応してしまうのは、心や身体がすでに疲れているサインの可能性があります。

睡眠不足やストレスの蓄積、ホルモンバランスの乱れなどが続くと冷静な判断がしづらくなることもあります。ほんの小さなことでもイライラしてしまうのは、日ごろからの疲れやストレスが原因になっているともいえるでしょう。

そんなときは、自分の生活の土台を整えることから始めてみましょう。寝不足を解消するだけでも違いが現れるかもしれませんよ。「私って短気なんだ」と決めつけず、ちょっと余裕がなくなっているだけだと優しく捉えてあげてくださいね。

Q4. 育児中で感情のコントロールが難しくなりそうなときはどうすればいいですか？

育児中は思い通りにいかないことの連続で、心身ともに余裕がなくなりやすい時期です。そんななかで感情があふれてしまうのは、当然のことではないでしょうか。決してあなたの忍耐力が足りないからではありません。

イライラが限界に達しそうなときは、その場を少し離れて物理的な距離をとることが効果的です。その上で、次のような行動を意識的にとってみましょう。

• 数秒間だけでもよいので深呼吸する
• 窓を開けて空気を入れ替える
• トイレにこもってリセットする
• 「つらい」や「疲れた」という言葉を口に出してみる

このような小さな行動でも、感情が溢れてコントロールできなくなることを防ぐ助けになります。

育児を完璧にこなすのは、不可能です。困ったときには誰かの力を借りることも、立派な育児スキルのひとつですよ。

Q5. イライラして食欲が止まらなくなるときはどう対処すればいいですか？

イライラしたときに食べたくなるのは、脳がストレスや疲労を感じているサインです。とくに甘いものや脂っこいものを無性に欲するのは、心のバランスを取ろうとする自然な反応でもあります。

大切なのは、仮に食べ過ぎてしまったとしても自分を責めすぎないことです。そのうえで、食べ方を選ぶ工夫ができると安心です。具体的には、次のような工夫を試してみましょう。

• 噛みごたえのあるナッツやドライフルーツを用意しておく
• 温かいお茶やスープで満たす
• 食べる前には、本当にお腹がすいているのかもう一度自問自答する

どうしても衝動が強いときは、食べる以外で満たす手段（散歩、音楽、呼吸など）を少しずつ試してみるのもおすすめです。

大人世代のゆらぎ対策を取り入れよう

最近イライラしやすい気がする…それって、もしかして年齢のせい？
そう感じたとき、「気のせい」で済ませずに、自分の心と体にそっと目を向けてみることも大切です。

大人世代に多い“なんとなく不調”。
その背景には、ホルモンバランスの変化や栄養不足など、体のリズムがゆらぎやすい時期特有の要因が潜んでいることがあります。

忙しい毎日のなかでも続けやすいセルフケア習慣は、心を穏やかに保つためのやさしい味方になってくれるかもしれません。

イライラが止まらない場合は小さなセルフケアから始めてみよう

イライラが止まらないと感じるとき、私たちはつい自分を責めたり、完璧な解決策を求めてしまいがちです。

しかし、心と身体の調子を整えるのに劇的な変化は必要ありません。ほんの少しのセルフケアを積み重ねていくことが、気づいたときには大きな安心につながっていきます。些細な行動が、あなたの感情の波を穏やかに整えてくれるでしょう。

そして、つらさや苦しさがどうしても続いてしまうときは、誰かに頼ることも1つの選択肢です。まずはできることから、ゆっくりはじめていきましょう。