屋根や屋上修繕で防水工事はなぜ必要?意義や実施時期の目安を解説

工場やビルの屋根や屋上には建物内に水が入るのを防いで建物を守る役割があるため、防水層が作られています。しかし、防水層は永遠に持つわけではありません。

屋根や屋上は雨風や紫外線の影響を直接受けるため、建物全体の中でも特に劣化しやすい場所です。防水層も劣化するので、工場やビルの修繕をするなら防水工事を行う必要があります。とはいえ、いつ実施すればいいのかわからない人もいるのではないでしょうか。

今回は屋根や屋上の修繕の際に防水工事を行う意義を紹介したうえで、工事を実施する時期の目安についても解説します。ぜひ修繕計画を立てる際の参考にしてみてください。

そもそも防水工事とは?工事の意義と防水工事を行うべき4つの理由

そもそも防水工事とはどのような意味を持つのか、工事の意義と防水工事を行うべき理由を紹介します。

防水工事は雨漏りを防ぎ建物を守るために実施される工事

防水工事とは、建物の屋根や屋上からの雨漏りを防ぐために防水層を作る工事です。

防水層とはビルや工場の屋根・屋上に設ける防水を目的とした膜で、防水層の上に防水層を保護する役割を持つトップコートが施されます。

ビルや工場の屋根は、一般家庭の屋根のように勾配が付いていないケースも多く見られます。勾配が付いていれば自然に流れ落ちる雨水も、勾配が付いていない屋根や屋上ではスムーズに流れません。

排水しにくい作りになっているので雨水がたまりやすく、屋内に雨水が浸入する可能性が高いと言えます。防水工事を行っていれば、建物内に雨水が浸入するのを防ぐ効果が期待できます。

防水工事を行うべき4つの理由!防水工事は建物を守るために重要

防水工事を行うべき理由は、以下の4つです。

  • 建物全体の劣化を防ぐ
  • 設備の故障を防ぐ
  • 漏電を防ぐ
  • 業務を止めないためにも役立つ

防水層が劣化して雨水が建物内に浸入すると、構造部分の鉄筋や木材が腐食し、耐久性が低くなります。建物全体が劣化するので、劣化を避けるためにも防水工事が重要です。

雨漏りがすると設備に水がかかって故障したり、漏電したりといった危険性もあります。設備の修理や漏電対策のために業務が行えなくなるケースも考えられるため、必要に応じて防水工事を行い、防水層の効果が期待できる状態にしておかなければいけません。

防水工事を行うべきタイミングは?目安の時期を確認

防水工事を行うべきタイミングには、主に2つあります。1つ目が劣化のサインが見られるようになった時、2つ目が前回の修繕から10年程度経過した時です。

それぞれについて、詳しく確認しましょう。

屋根や屋上に劣化のサインが見られるようになった時

屋根や屋上に以下のような劣化のサインが見られるようになったら、修繕を検討する必要があります。

状態 修繕が必要な理由
雨漏りがしている すでに防水層が劣化している
早めに対策をしないと内部の修繕が必要になる可能性もある
水たまりができている 水がたまったままの状態だと防水層が劣化する
排水機能に問題があると考えられる
ひび割れ、剥がれ、破れがある 隙間から雨水が入る可能性がある
雑草が生えている ひび割れや剥がれなどを放置していると雑草が生える場合がある
雑草が根を張ると傷みがひどくなる
防水層が膨らんでいる 防水層の下地が水を含んでいる時に見られる
放置していると破れる
色あせている トップコートが傷み始めている
排水溝がずれたり外れたりしている 水が排出できず水たまりができる原因になる

すでに雨漏りがしている場合や、屋上に水たまりができている場合は、劣化が激しい状態です。早めに修繕工事を行いましょう。

前回防水工事を行ってから10年程度経過した時

屋根や屋上の状態を見て気になる点がなくても、前回防水工事を行ってから10年程度経過していれば修繕工事を計画しましょう。

屋外の防水加工の耐用年数は10年から15年程度、屋根材の耐用年数は15年から20年程度です。10年程度経過すると防水加工が劣化し始める可能性があるため、劣化のサインがなくても10年程度を1つの目安にするのがおすすめです。

修繕計画を立てるために知っておきたい防水工事の種類と修繕費の目安

修繕計画を立てるためには、防水工事の種類を知っておく必要があります。方法ごとに特徴があり、修繕費の目安も違うので、ビルや工場の状況に合わせて適した方法を選択しましょう。

耐用年数が長いのがメリット!アスファルト防水

アスファルト防水は、ルーフィングと呼ばれる防水シートの上にアスファルトを乗せた層を2層以上重ねる工法です。耐用年数や修繕費の目安を確認しましょう。

項目 内容
耐用年数 15年~25年
工期の目安 6日~10日程度
修繕費の目安(1㎡あたり) 6,000円~9,000円程度

アスファルト防水は、防水シートとアスファルトが何層か重ねられているため耐久性が高く、防水機能が高いのが特徴です。防水層の上にさらにコンクリートを重ねて、強度を高める方法もあります。

頻繁にメンテナンスができない場所に向いていて、大型のビルや工場の防水にも適しています。

デメリットは施工費用が高くなり、工期も長くなることです。工事の際に臭いが出るため、注意しましょう。重量もあるので、木造の建物には向きません。

繊維強化プラスチックを使用するFRP防水

FPR工法とは、ガラス繊維とポリエステル樹脂を組み合わせて作った繊維強化プラスチックを使用する防水方法です。耐用年数や費用の相場を確認しましょう。

項目 内容
耐用年数 10年~15年
工期の目安 1日~2日
修繕費の目安(1㎡あたり) 5,000円~8,000円

FRPはお風呂の浴槽にも使われる素材で、防水性が高いのが特徴です。プラスチックに繊維が混ざることで、プラスチック単体では耐えられない衝撃にも耐えられる素材になっています。

繊維を敷いた上にポリエステル樹脂を塗って仕上げるので、シートのように継ぎ目はありません。重量も軽く、屋根や屋上の形状に関わらず施工が可能です。速乾性があり、早ければ1日で工事が終了する場合もあります。錆や腐食の心配もありません。

防水性が高く硬さがある半面、伸縮性に欠けひびが入りやすいのがデメリットです。広い場所だとさらにひびが入りやすくなるので、大きな屋根や屋上には向きません。紫外線にも弱いので、5年程度でトップコートの塗り直しが必要になります。

費用も高額になりがちなので、強度が必要な狭い場所に施工するのがおすすめです。

液状の防水材を重ねて施工するウレタン防水

ウレタン防水は液状のウレタン樹脂を塗り重ねる工法で、手軽に防水工事ができます。耐用年数などは以下の通りです。

項目 内容
耐用年数 8年~12年
工期の目安 4日~7日
修繕費の目安(1㎡あたり) 4,500円~7,500円

液状の防水材を使用するので隙間なく施工ができ、屋根や屋上の形状に合わせて切り貼りする必要もありません。複雑な形状の場所にも設置しやすく、費用がそこまで高くないのもメリットです。

広い範囲にも施工しやすく、多くのビルや工場で取り入れられています。重量もないので、木造の建物にも施工が可能です。ウレタンには柔軟性や防音性があり、施工後はゴムのようなイメージに仕上がります。密着力もあり、施工しやすい方法です。

施工が簡単な分、耐用年数はやや短いと言えます。さらに5年程度でトップコートの塗り直しも必要です。均一な厚さにするには職人の技術が関係するため、担当者によって仕上がりに差が出やすい点に注意しましょう。

防水シートを屋根や屋上に合わせて切り貼りするシート防水

シート防水は、防水性のあるシートを屋根や屋上の形に合わせて切り貼りするだけで、防水工事ができる方法です。耐用年数や費用を確認しましょう。

項目 内容
耐用年数 10年~15年
工期の目安 4日~7日
修繕費の目安(1㎡あたり) 3,000円~7,000円

防水シートにはゴムシートや塩化ビニルシートなどの種類があり、シートによって耐用年数や費用の目安が異なります。

以前はゴムシートが主流でしたが、耐用年数が長く鳥や飛来物などの影響で破れる可能性もあることから、最近では塩化ビニルシートが主力となりました。

接着剤を使用する方法と機械的に固定する方法が選べるため、屋根や屋上が傷んでいても適した工法の選択によって施工が可能です。軽くて施工しやすいのもメリットです。

工期が比較的短く費用も安く抑えられますが、複雑な形の屋根や屋上には対応できません。継ぎ目ができる工法なので、継ぎ目部分が傷みやすいのにも注意が必要です。

防水工事費用の計上方法は主に2種類!修繕費として計上するコツ

防水工事費用の計上方法には、主に修繕費と資本的支出の2種類があります。両者の違いと、修繕費として計上するコツを確認しましょう。

修繕費と資本的支出の違いは経費計上の期間

修繕費と資本的支出には、以下のような違いがあります。

費用の種類 修繕費 資本的支出
工事の内容 原状回復のための工事 価値を付け加えるための工事
費用の計上 工事を行った年に全額計上 減価償却が必要
節税 支出した時に損金として算入できる 修繕費とみなされる部分を抜き出して残りを減価償却する
減価償却できる部分は節税になる

経費計上の期間で、修繕費の場合は工事を行った年のうちに全額計上できます。修繕費は支出した時に損金として算入することが認められているため、利益が減って節税効果が期待できるのがメリットです。

資本的支出とみなされた場合は、減価償却して数年にわたって計上しなければいけません。

防水工事費用を修繕費として認めてもらうコツ

防水工事費用を修繕費として認めてもらうには、原状回復以上の工事をしないのがコツです。

たとえばウレタン防水をアスファルト防水に変更するなど、耐用年数が伸びる工事をすれば修繕費とは認められません。ウレタン防水が傷んできたので同じウレタン防水を施した場合は、原状回復とみなされて修繕費として計上できます。

修繕費とみなされるには、以下のいずれかの条件も満たしていなければいけません。

  • 費用が20万円未満で実施サイクルが3年に1回程度の工事
  • 費用が60万円未満の工事
  • 費用が工事を実施する建物の全期末の取得価格の10%以下になる工事

費用が高額になると、原状回復のためでも修繕費とみなされない可能性があります。

屋根や屋上の修繕を成功させる防水工事業者の選び方

ビルや工場の屋根・屋上の修繕を成功させるには、防水工事を担当してくれる業者選びも重要です。業者を選ぶポイントを紹介するので、チェックしてみてください。

防水工事の完成度は施行者の技術に左右される!実績豊富な企業を選ぶ

防水工事の完成度は施行者の技術に左右されるため、実績が豊富な企業を選ぶのが工事を成功させるポイントです。たとえば費用面のみに注目して依頼先を選ぶと、仕上がりに満足できない可能性もあるでしょう。

施工実績が豊富な企業は、多くの工事を担当しています。施工事例も確認しながら、納得できる作業をしてくれそうな企業を選びましょう。防水に関する専門知識を持った施行者がいるかも、確認する必要があります。

見積書の内容が詳しい企業を選ぶ

見積もりを依頼した際に、見積書の内容が詳しい企業も安心して依頼できます。工事面積をきちんと出す、使用する素材のメーカー名や商品名がはっきりしているなど、わかりやすい見積書になっているか、確認しましょう。

優良な業者は、工事の工程に関しても事前に説明してくれます。

周囲に対する配慮もしてくれる業者なら安心できる

防水工事をすると音や臭い、水しぶきなどが出る可能性が高いので、近所からクレームを受けるケースもあります。

周囲に対して挨拶をしてくれる、緊急時の連絡先を徹底するなど、配慮してくれる業者なら安心して依頼できるでしょう。

屋根や屋上の修繕で防水工事をするなら信頼できる業者に依頼を

ビルや工場の屋根・屋上の修繕で防水工事をする場合、複数の方法があります。せっかく修繕を行うなら、自社のビルや工場の状態に適した方法や希望に合う方法を選んで実施したいところです。

信頼できる業者を選んで工事を依頼すれば、相談に乗ってもらえます。技術面でも安心できるので、納得の工事をしてもらえるでしょう。ぜひ自社の希望を叶えてくれる業者を選んで、防水工事を成功させましょう。

お気軽に是非、お問い合わせください。

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